●メタボリックシンドロームとは
メタボリックシンドロームは「内臓脂肪症候群」とも呼ばれ、その名の示すように内臓のまわりに脂肪が過剰に蓄積した内臓脂肪型肥満を前提するもので、高血圧、血清脂質異常、高血糖のいずれか2つ以上を併せもった状態を示します。これは、食生活の乱れや運動不足、睡眠トラブル、過度なストレスなどの生活習慣が原因と考えられていますが、近年は歯周病との関連が取り上げられるようになってきました。今回は、メタボリックシンドロームと歯周病の関係について述べたいと思います。

●メタボリックシンドロームと歯周病
 歯周病の人はメタボリックシンドロームの発症リスクが高いという研究結果が報告されています。この研究は、初回検診時メタボリックシンドロームの兆候がなかった20歳から56歳までの男女1023人について行われたものです。4年後に再検査を行い、初回検診時に「歯周ポケット」があり歯周病が疑われた人と、「歯周ポケット」はなく歯周病はないと診断された人とを比較しました。すると、「歯周ポケット」があった人はそうでなかった人に比べて、メタボリックシンドロームの指標である「高血圧」「肥満」「脂質異常」「高血糖」などの項目が陽性になる割合が有意に高くなっていたということです。
 この研究結果は、歯周病の人はメタボリックシンドロームになるリスクが高いことを示すものです。さらに、歯周病を予防することはメタボリックシンドロームの予防にも寄与する可能性のあることが示唆されました。
 
●メタボリック・ドミノ
 メタボリックシンドロームが進行すると、ドミノ倒しのようにつぎつぎと病気がおこるようになります。これをメタボリック・ドミノと言います。すなわち、メタボの進行に伴い、高血圧や糖代謝異常などが起こってきます。次いで動脈硬化、虚血性心疾患や脳血管障害、最終的には心不全や脳卒中、腎不全などの重大な病気が引き起こされるようになります。これらの病気は一度に起きるものではありません。生活をしていく中で時間を追って、いわばドミノ倒しのようにつぎつぎに病気が発症していくのです。いちどメタボリック・ドミノが起こってしまうと病気の連鎖を途中でストップさせるのは難しいことが少なくないようです。
歯周病は、このドミノの最上流に位置しているといわれています。症状のない歯周病であっても、それがメタボリック・ドミノの最初の一枚となる可能性があるのです。そうならないようにするためには、歯周病の予防、早期発見早期治療が大切です。また、メタボリックシンドロームに限らず全身の健康のためにも、ご家庭での歯磨きなどの口腔清掃を適切に行うとともに、定期的に歯科検診やクリーニングを受けられることをおすすめいたします。