●「歯ブラシ」だけでなく「歯間ブラシやデンタルフロス(糸ようじ)」も使う
 日常の歯磨きで、補助的清掃用具である歯間ブラシやデンタルフロス(糸ようじ)などを用いずに、歯ブラシだけで歯磨きを終えている方は少なくないのではないでしょうか?実は歯ブラシだけだと取り除けるプラーク(歯垢)は全体の60%程度に過ぎないと言われています。歯周病や虫歯のリスクを下げるためには、プラーク除去率を最低でも80%以上、できれば90%前後にまですることが望ましいとされています。そのため、歯ブラシだけでは、虫歯や歯周病予防の効果はあまり多く期待できないということになります。
歯ブラシは歯の表面のプラークや汚れは除去できますが、「歯と歯の間」には歯ブラシの毛先が届きにくくプラークが残留しやすくなります。この残量した「歯と歯の間」のプラークが問題となるのです。この部のプラークを効果的に除去するためには、歯間ブラシやデンタルフロスなどの補助的清掃用具の使用が有効です。ある報告によると、プラーク除去率は、歯ブラシだけですと61.2%なのですが、歯ブラシに加えてデンタルフロスを用いると79.0%となり、歯ブラシに加えて歯間ブラシとデンタルフロスを併せて用いると84.6%まで向上するとのことです。
プラーク除去率が80%〜90%程度まで改善するとお口の中の細菌の数が減少し、虫歯や歯周病のリスクも低下するとされています。一日一回でもいいですから日常の歯磨きに加えて歯間ブラシやデンタルフロスを使用されることをお薦めします。使い慣れないうちは多少時間がかかるかもしれませんが、慣れてくると歯間ブラシとデンタルフロスの両方を使っても2〜3分程度で済ませることができます。

●歯磨き後の「うがい」は一回だけ
 歯磨きした後は、きれいに洗い流すようにお口を何回もプクプクゆすいでおられる方は少なくないのではないでしょうか。従来の歯磨き剤であればそれで構いません。それは歯磨き剤のなかに「発泡剤」や「界面活性剤」などが含まれているものもあり、歯磨き後はこれらをきれいに洗い流す必要があるからです。
しかしながら、最近の歯磨き剤の中には様々な薬効成分が含まれているものもあります。とくにフッ素や知覚過敏用の薬が含まれている歯磨き剤などの場合には、うがいを最小限にした方がよいものがあります。これは薬効成分をなるべく長くお口に残すようにした方が薬の効果が発揮されやすくなるからです。うがいの程度については、歯磨き後に「5〜15ml(おちょこ一杯程度)の水で5秒間一回のみ」のうがいが推奨されているものが多いようです。歯磨き後は、1〜2時間程度飲食をお避けになるとさらに効果的です。
 このように「うがい」ひとつをとってみても、その歯磨き剤にあった方法を取る必要があります。症状やお口の状態によって歯磨き剤の種類を選択することが望ましい場合もあります。ご自分にあった歯磨き剤やその使い方などについても、かかりつけの歯科医院で相談されてみるのもよろしいかと思います。きっと良いアドバイスが得られると思います。