●歯周病には「3ヶ月おき」の定期検診を:前回はバイオフィルム対策として、3ヶ月おきの定期検診がおすすめである旨をのべました。これに加えて、ある有名な歯周治療の論文も3ヶ月おきの専門的クリーニングの必要性を支持しています。その論文の概要は、「歯周治療を行うと歯周ポケット内の細菌の数は減少します。しかしながら治療後適切なセルフケアを行なっていても、歯周ポケット内の細菌の数は3ヶ月で治療前のレベルに戻ってしまう」というものです。すなわちこの論文は、歯周病を予防するためには3ヶ月おきに専門的クリーニングを受ける必要があることを示す科学的根拠(エビデンス)となっています。
●フッ素塗布は「3〜4ヶ月」おきが効果的:歯科医院で行う専門的クリーニング(プロフェッショナルケア)では、歯面のクリーニングに加えて、虫歯予防効果が期待できる「フッ素塗布」も併せて行なっています。フッ素には歯の酸に対する抵抗性を強化して虫歯になりにくくする効果があります。また、歯を修復する「再石灰化」を促したり、いわゆる虫歯菌が酸を産生するのを抑制する効果もあります。最近では、高濃度のフッ素を含む歯磨き剤も市販されていますが、歯科医院でより高濃度のフッ素を塗ることで。虫歯予防の効果を高めることができます。定期的なフッ素塗布を行うと、乳幼児では50%程度のむし歯予防がきたいできます。永久歯では20%〜30%ほど虫歯を減少させる効果が報告されています。ただし、このフッ素塗布は1回だけの施術ではその効果は期待できません。その効果を発揮するためには、基本的には3〜4ヶ月に一回、少なくとも半年に一回程度、継続的に施術する必要があるされています。
●定期的に歯科検診を受ける方は生涯にわたり多くの歯を残せます:歯科検診が重要であることはなんとなく理解していても、具体的にどのくらい効果があるのか知りたいところかと思います。様々な研究や調査の結果、定期検診の効果については証明されており疑う余地はありません。一例として定期検診と残存歯数(口の中に残っている歯の本数)との関係について調査した研究を紹介します。その研究によると定期検診を継続して受けた方は生涯を通じて多くの歯が残存しているのに対して、継続的な歯科検診は受けず問題がある時だけ歯科医院を受診した方は高齢になるにつれ多くの歯を失う傾向があることが判りました。各年代の残存歯数をみると、定期検診を受けた方は20代で30本以上、40代で30本、60代で28本、80代でも25本以上となっています。これに対して、継続的に定期検診を受けてこなかった方は、20代では30本以上なのですが、年齢が進むにつれ残存歯数は減少し40代で25本、60代で15本、80代では0〜5本と、ほとんどの歯を失っているという結果でした。生涯ご自分の歯で食事を楽しみたいとお考えであれば、定期的な歯科検診を受けられることをおすすめします。定期検診の間隔ついては、述べてきたように3ヶ月程度が目安となります。しかし、これはあくまで「標準的な目安」です。お口の状態によってはその間隔を変える必要があるかもしれません。かかりつけの歯科医院で相談のうえ適切な定期検診の間隔を決めていただくのがよろしいかと思います。