●混合歯列期とは
 学童期の乳歯と永久歯が混在している状態を混合歯列期と言います。乳歯から永久歯への交換は、6歳前後に乳歯列の奥に永久歯の第一大臼歯が生えることから始まります。個人差はありますが、7歳から12歳ぐらいの間に徐々に乳歯が抜け落ちて永久歯に変わります。最終的には、第三大臼歯(親知らず、智歯)が成人前後に生えてきますが、これは顎の骨の中に埋まって生えなかったり、一部だけ見えたりする方も多いと思います。

●幼若永久歯
 この頃の永久歯は生え変わったばかりのため「幼若永久歯」と呼ばれます。名の通り、成熟した成人の歯と比べると柔らかく、酸に対する抵抗力が弱いため虫歯になりやすいです。また、歯根もまだ短く完成していません。一度虫歯になってしまうと刺激が歯髄にまで伝わりやすく、進行が早いため重篤化しやすい傾向があります。
 
●予防
 幼若永久歯を守るためにご家庭でできる大切なことは、歯磨きと糖分摂取の制限です。フッ素濃度の高い(1450ppm)歯磨き剤の使用やプロデンティスといった乳酸菌の摂取も虫歯予防には有効です。歯科医院では、歯の酸に対する抵抗性を増すためにフッ素を塗布したり、虫歯になりやすい歯の溝を予防的に埋めたり(フィッシャーシーラント)します。

①歯磨きによるプラークコントロール
 歯磨きは、虫歯菌のいる歯垢(プラーク)を歯から取り除くための大切な作業です。この時期のお子様は、心理的には保護者から独立していきます。しかし、歯磨きの技術という点では、まだ本人がきちんと磨ける状況ではありません。また、歯の生え変わりによって磨きにくいところもでてきます。保護者の方にはそういったところをカバーしていただく必要があります。年齢が上がっていくにつれ、保護者磨きの役割を、「歯を磨く」から「磨き残しを磨く」に、さらには「磨き残しや異常がないかチェックする」に徐々に移行させていきます。また、保護者磨きの頻度も「毎日」から「二、三日おき」、さらには1週間おき」に伸ばしていきます。最終的には全部乳歯が抜け落ちて永久歯列になり、その永久歯をお子様がひとりできちんと歯磨きができるようになれば理想的です。

②糖分摂取の制限(シュガーコントロール)
 虫歯予防のためには、歯磨きに加えて、お砂糖の入った食べ物や飲み物の摂りかたに注意する必要があります。以前にも述べましたが、虫歯菌が歯のエナメル質を溶かすほどの強い酸を産生するためには、糖分が必要であることが明らかになっています。一方、デンプンだけではそれほど強い酸は作れないのです。この科学的な根拠からも、いかにお砂糖の摂取が虫歯になるリスクを増加させるかおわかりいただけると思います。
 お砂糖は、虫歯だけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼします。WHO(世界保険機関)は心臓病などのリスクを減らすためには、一日の砂糖の摂取量を総エネルギーの15%以下にするように勧告しています。すなわち、成人で約30g、子供で15gが上限です。日本食の場合、おかずにお砂糖を使うことが多く、普通の食事だけで摂取量の上限に達してしまっているようです。そのため、おやつを食べたりジュースを飲んだりすると、お砂糖を過剰に摂取してしまっていることになるのです。お砂糖の過剰摂取が習慣化してしまいますと健康への悪影響が懸念されます。お子様の将来の健康のためにも、虫歯予防のためにも、お砂糖の入った食べ物や飲み物をダラダラと摂る習慣はお避けいただいた方がよろしいかと思います。